花と名前というものはとても大事なものだ

小さい頃、「マーガレット」という花を好きになったのはその可憐さと名前の可愛らしさとがとてもよく合致していたからだ。

形とともに名前も愛でる。

そんな風に花を味わうのはとても贅沢な楽しみ方ではないだろうか。

ノウゼンカズラを見かけた。

夏がもう来るなぁ、と楽しい気持ちになった。

「凌霄花」という漢字からして趣が感じられる。

とりわけ、夏の厳しい日差しの中で、橙色に咲いている光景は、いっそ透明感すら感じられるから不思議なものだ。

「凌霄花」という漢字には「空や雲を凌ぐ花」という意味があるという。

空へ向かって伸びる様がその名前になっている。

漢字だけを見ればなんだか勇壮にも思えるが、凌霄花が実際に咲き乱れる様は繊細というほうがしっくりくる。

つるが曲線を描きながら溢れるほど咲き乱れる軒先はそれだけで美しいものだ。