近年、配偶者や恋人からのドメスティック・バイオレンス(DV)に苦しみ、警察に相談する男性が急増しています。
「DV=女性が被害者」というイメージが根強いですが、実際には男性被害者も少なくありません。
今回は、なぜ男性のDV相談が増えているのか、その背景と支援の重要性について解説します。
男性のDV被害相談が急増|警察のデータから見る現状
警察庁のデータによると、2023年のDV相談件数は約9万件にのぼり、そのうち男性からの相談は約3割を占めています。
これは2011年の1,146件から2021年には20,895件へと、わずか10年で約18倍に増加したことを示しています。
「DVは女性が被害者になるもの」という考え方が少しずつ変わり、男性も声を上げやすくなったことが、相談件数の増加につながっていると考えられます。
なぜ男性のDV相談が増えているのか?3つの背景
① DVに対する社会の認識が変わった
これまでDVの被害者は女性というイメージが強かったですが、最近では男性もDVの被害者になりうるという認識が広まりつつあります。
日本大学の鈴木秀洋教授は、「DVに関する情報が広まり、性別に関係なく被害者になりうるという意識が社会に浸透した」と指摘しています。
② 相談しやすい環境が整備されつつある
従来、DV被害を相談できる窓口は主に女性向けでしたが、最近では男性専用の相談窓口や支援制度も増えてきました。
また、インターネットやSNSを通じて**「自分と同じように悩んでいる人がいる」と知ることで、相談しようと思える人が増えた**のも、相談件数の増加につながっていると考えられます。
③ 加害者の背景にも注目が集まるようになった
DV加害者の多くは、幼少期にDVを目撃・経験しているケースが多いと報告されています。
暴力が家庭内で繰り返される「負の連鎖」を断ち切るために、被害者支援だけでなく、加害者への更生プログラムや教育の重要性も指摘されています。
もしDV被害に遭ったら…すぐに相談を!
DVは決して「我慢すれば解決する問題」ではありません。
被害を受けていると感じたら、できるだけ早く警察や専門機関に相談することが大切です。
✅ 警察のDV相談窓口(#9110)
✅ 配偶者暴力相談支援センター
✅ 男性のための相談窓口(自治体やNPO団体)
こうした機関を利用することで、安全を確保しながら心の平穏を取り戻す一歩を踏み出すことができます。
まとめ|DVは男女問わず深刻な問題!まずは一歩踏み出してみよう
近年、男性のDV被害相談が増加しているのは、社会の意識が変わり、相談しやすい環境が整ってきたからです。
しかし、まだまだ「男性だから相談しづらい…」と悩んでいる人も多いのが現状。
DVは、性別に関係なく誰もが被害に遭う可能性がある深刻な問題です。
もしあなたや身近な人が苦しんでいるなら、無理に耐えず、専門機関に相談してみてください。
あなたの声を聞いてくれる人は必ずいます。